咳喘息・アトピー咳について

咳喘息(せきぜんそく)の2症例


咳

原因不明の咳が続く状態が慢性咳症候群です。①鼻汁が喉に流れていき、咳が出る。という場合が多いですが、②咳喘息③アトピー咳ということもあります。この②と③は、区別がつき難いと思われます。今回は、咳喘息についてご紹介します。

 症例(1)小学2年生。咳が、2ヶ月続いています。待合室で待っている時も咳が聞こえてきます。緑色の鼻汁も出ていましたので、鼻水の薬と抗生物質で治療をしました。鼻水も治って、咳もましになりましたが依然続いています。念のため胸部レントゲン写真をとり、異常がないことを確かめる一方、マイコプラズマ肺炎、百日咳も考えないといけませんので、それらに効果のあるマクロライド抗生物質を処方しました。それでも、咳は治りません。そこで、お母さんの了解を得て、ステロイドホルモンを処方しました。ステロイドと聞いただけで「ドッキリ」というお母さん方が大半ではないでしょうか?しかし、最近では体全身に対する副作用がほとんどなく、成長期のお子さんでも安心して使えるものがありますので、ご心配はありません。この子の咳は嘘のように治りました。

症例(2)小学6年生。なんと3年ぐらい咳が続いているらしいです。病院を転々とされ、私どもへ来院されました。この子も待合室から咳が絶えず聞こえ気の毒な位でした。緑色の鼻汁がでていましたが、治療でそれが治っても咳は続きました。その後の治療経過は上記(1)のお子さんと同じです。ステロイドの処方で咳は治りました。

(1)のお子さんは気管支喘息の持病はありませんが、アレルギー性鼻炎とアトピーがある方でした。(2)のお子さんは、他の病院で喘息気味と言われた事がありました。つまり、二人ともアレルギー素因がある訳ですが、しかし、二人とも胸の呼吸音は正常でした。喘息発作なら「ヒュー、ヒュー」という苦しい呼吸になりますが、その代わりに「コン、コン」と咳発作が続くのが咳喘息である、と考えるとわかりやすいと思います。

慢性咳症候群という病気について


咳

「なんで、耳鼻科のお医者さんが咳(せき)のお話なの?」と思われるかもしれませんが、咳と耳鼻科の病気は密接な関係があると最近わかってきました。原因がはっきり分からなくて、1~2カ月以上咳が続いている場合を慢性咳症候群と呼んでいます。
原因は、次の通りです。

[1]気管支炎、肺結核、肺がんなど、肺自体に原因のある場合。
[2]ACE阻害剤という種類の血圧の薬をのんでいる時に、その薬の副作用である場合。
[3](1)副鼻腔気管支症候群、(2)アレルギー性鼻炎の鼻水のために続く慢性的な咳。この二つが、耳鼻科と関係があります。
私どものクリニックへは、咳が治らない、という患者さんが時々来られます。
よその医者(前医)で診てもらっているけど、治らないという方も残念ながらおられます。
そんな時、咳の原因を考えていく訳です。まず上記[1]の肺の病気です。前医が内科医の時は肺の病気として、既に治療されていることがほとんどです。でも絶対に見落とせないのが、肺結核や肺がんなので、胸のレントゲンを最近撮ってない、という場合は私どもでレントゲンを撮ることもあります。また、上記[2]ACE阻害剤の副作用ということもあり得ますので、患者さんに聞いてみます。
上記③は新しい概念で、私は大学の先輩で呼吸器内科の助教授から教わりました。前医が内科や小児科の先生の場合、鼻や喉の奥の方の診察は当たり前ですが、うまくできません。 従って、 総合病院では上記[3]が疑われる場合、耳鼻科に患者さんが紹介されてきます。同様に、私どものクリニックに患者さんがいらっしゃるのだと思います。
 診察は、耳鼻科用の細い内視鏡で鼻と喉の中を診ます。(1)副鼻腔気管支症候群では、蓄膿症の汚い黄緑色の鼻水が鼻の奥から喉に流れ落ちていくのが見えます。そのほとんどが食道から胃に入りますが、一部は絶対に気管に入ります。ばい菌の塊のような鼻水が気管に入り続けるのですから、咳も出ます。
この場合は蓄膿症と咳の治療をします。(2)アレルギー性鼻炎の鼻水が大量でそれが鼻から喉に流れ落ちて行って、喉にたまっているのもよく見られます。鼻炎の透明な鼻水は蓄膿のそれよりは汚くありませんが、やはり気管に入りますと刺激が強く咳の原因になります。この場合はアレルギー性鼻炎と咳の治療をします。
 患者さんを診ていますと、上記③の特徴が顕著な患者さんほど、咳は劇的に治ってしまいます。
長く続く咳、お近くの耳鼻咽喉科専門医にご相談ください。

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